人を化かすことに四苦八苦しているポン助。
里ではそんなポン助を他の狸たちが毛嫌いしている。
その中で、ただ一匹だけ、親しく声をかけてくれる狸がいた。
「タヌ吉」
彼は狸の中でも男前の部類に入り、人を化かす術に長けていた。
今まで彼に化かされなかった人間は誰もいない。
人気者であり、技にも優れている彼が、なぜポン助にだけ優しいのか――
それは誰にもわからなかった。
「ようポン助。今日も人を化かせなかったのか」
「タヌ吉か。地蔵に化けてお供えものをさせようとしたが……足が狸のままだった」
「相変わらずだなぁ。そのうちうまくいくさ。それで人間はどうした?」
「笑って、がんばれよと声をかけてくれた」
「そうか」
いつものような会話が、今日も静かに交わされた。
しかしタヌ吉は、心の奥で小さく疑問を抱いていた。
「……どうしてポン助は、同じ狸には嫌われるのに、人間からは可愛がられるんだ?」
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