狸の里

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🦝 狸の里 第七話「儀式」

「……頼む。俺に、化かし方を教えてくれ」ポン助の言葉が、風に吸い込まれて消えた。 妖狐は、しばらくポン助の目をじっと見つめていたが、やがてゆっくりと口を開いた。「よかろう。だが、口約束だけでは信用できん。……狸というのは、すぐに裏切る生き物...
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🦝 狸の里 第六話「契り」

「…狸か?」妖狐が口を開いた。その声は、鈴を転がしたように美しく、そして氷のように冷たかった。ポン助は腰を抜かしたまま、コクコクと頷く。「お、俺はポン助だ……。あんた、大丈夫か?」妖狐は、自分の傷が塞がっていること、そして空になった徳利を見...
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🦝 狸の里 第五話「妖狐」

狸の宿年の天敵 「狐」しかも、その狐の最上位「妖狐」この山、恐山の言い伝え妖弧が入山した者を生きて返さない。当然の反応であった。だが、「このままだと死んでしまうな・・・」「見捨てるわけにもいかない・・・」こころの内からの思い、「助けよう」そ...
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🦝 狸の里 第四話「入山」

恐山──。そこは、ポン助がこれまで暮らしていた里とは、まるで別世界だった。草木は枯れ果て、むき出しの岩肌からは鼻を突く硫黄の臭いが漂っている。地面から立ち上る白い蒸気は、まるで死者たちの溜息のようだった。「……うう、寒いし、臭いし、気味が悪...
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🦝 狸の里 第二話「タヌ吉」

人を化かすことに四苦八苦しているポン助。里ではそんなポン助を他の狸たちが毛嫌いしている。その中で、ただ一匹だけ、親しく声をかけてくれる狸がいた。「タヌ吉」彼は狸の中でも男前の部類に入り、人を化かす術に長けていた。今まで彼に化かされなかった人...
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🦝 狸の里 第三話「恐山」

ポン助は無類の酒好き。瓢箪を片手に、暇さえあれば飲んでいる狸だった。その日は昼間、釣りに出かけ大物を釣り、嬉しさのあまり飲み過ぎてしまった。目を覚ますと、もうお日様は高いところにあった。「しまった。今日は大事な里の寄合だ」慌てて、みんなが集...
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狸の里 第一話「ポン助という狸」

ポン助は、狸の里に住む、太鼓腹で二足歩行の不器用な狸でした。いつも腰にとっくりをぶら下げ、昼から酒を飲んでいる酒好きで、里の仲間からは「酒飲みで、騙しが下手などうしようもない奴」と見られていました。狸の里には昔から、人間を化かして遊ぶ習慣が...