静寂を切り開く者

狸の里

🦝 狸の里 第七話「儀式」

「……頼む。俺に、化かし方を教えてくれ」ポン助の言葉が、風に吸い込まれて消えた。 妖狐は、しばらくポン助の目をじっと見つめていたが、やがてゆっくりと口を開いた。「よかろう。だが、口約束だけでは信用できん。……狸というのは、すぐに裏切る生き物...
GodValley戦記

🩸GodValley戦記 ― 営業編『血流大河』  第11話:序章

併願していた本命の会社、ベンチャー・リンクが不採用となり、結局、IEグループに入社する事になりました。ベンチャー・リンクは牛角やガリバーを急成長させたコンサル会社でした。過去形なのは、その後、他社に買収されてしまったからです。これはほんの血...
狸の里

🦝 狸の里 第六話「契り」

「…狸か?」妖狐が口を開いた。その声は、鈴を転がしたように美しく、そして氷のように冷たかった。ポン助は腰を抜かしたまま、コクコクと頷く。「お、俺はポン助だ……。あんた、大丈夫か?」妖狐は、自分の傷が塞がっていること、そして空になった徳利を見...
GodValley戦記

🩸GodValley戦記 ― 営業編『血流大河』  第10話:運命

研修と、入社手続きの連絡だった。一次面接も、最終面接も失敗した。どちらも、面接官を待たせてしまった。不採用だと思っていた。だが——。「さて、どうしようか」本命の転職先の結果は、まだ出ていない。できれば、待ってから返事をしたい。折よく、インフ...
GodValley戦記

🕯️『GodValley戦記 ― 闘病編:明日への咆哮』第9話:Change

あと、「どれくらい持つのだろうか。」ステージ4と聞かされて、死んだ後の仕事のことばかり頭に浮かぶ。医師からの説明が続く「ステージ4も、3段階に分かれておりまして」「4a、4b、4cになります」aからb、cへと、重くなっていくらしい。「今回、...
狸の里

🦝 狸の里 第五話「妖狐」

狸の宿年の天敵 「狐」しかも、その狐の最上位「妖狐」この山、恐山の言い伝え妖弧が入山した者を生きて返さない。当然の反応であった。だが、「このままだと死んでしまうな・・・」「見捨てるわけにもいかない・・・」こころの内からの思い、「助けよう」そ...
GodValley戦記

🩸GodValley戦記 ― 営業編『血流大河』  第9話:結果発表

最終面接でも、一次面接と同じ失敗をした。面接官を待たせてしまったのだ。——こりゃ、落ちたな。そう思った。だが、不思議とそこまで落ち込みはしなかった。実は、もう一社、本命として行きたい会社があったからだ。ここが落ちても、本命さえ通ればいい。そ...
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🕯️『GodValley戦記 ― 闘病編:明日への咆哮』第8話:死亡フラグ

食道がんはステージ2残り咽頭部の3箇所。咽頭は上中下の3つに分かれている。これから説明か。「上咽頭と中咽頭はステージ1です。」頭の中で、「食堂よりかはマシか。でも癌には変わりはない。」「まぁ治るだろう。」若干、安心した。ラスト1箇所。これが...
狸の里

🦝 狸の里 第四話「入山」

恐山──。そこは、ポン助がこれまで暮らしていた里とは、まるで別世界だった。草木は枯れ果て、むき出しの岩肌からは鼻を突く硫黄の臭いが漂っている。地面から立ち上る白い蒸気は、まるで死者たちの溜息のようだった。「……うう、寒いし、臭いし、気味が悪...
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🕯️『GodValley戦記 ― 闘病編:明日への咆哮』第6話:放射線科

いつのまにか受診科が1つ増えていた。放射線科。最初に受診した耳鼻咽喉科で癌と告げられた時から、すでにこの線は引かれていたのかもしれない。初診の時、大勢の医師の中にいた一人が、そのまま放射線科の主治医となった。先生からの説明が始まる。「咽頭以...