ポン助は無類の酒好き。
瓢箪を片手に、暇さえあれば飲んでいる狸だった。
その日は昼間、釣りに出かけ大物を釣り、
嬉しさのあまり飲み過ぎてしまった。
目を覚ますと、もうお日様は高いところにあった。
「しまった。今日は大事な里の寄合だ」
慌てて、みんなが集まる寄合場へ駆け込む。
「遅れてすいません」
一斉に、厳しい目が集まった。
とりわけ、普段からポン助を嫌っている長老の顔は、怒りに歪んでいる。
「ポン助、人を化かせないくせに、遅れてくるとは、ずいぶん偉くなったな」
「すいません」
「もう我慢の限界じゃ。恐山に修行に行ってこい!」
「そ、それはなんとか……」
「駄目じゃ。人を化かせるようになるまで、里に帰ってくるな!!」
タヌ吉も庇おうとしたが、長老の剣幕に、声を失った。
「わかったな。わかったら、とっとと今から行ってこい!」
——恐山に行った狸は、誰も帰ってきたことがない。
そこには、冷酷な妖弧が棲む。
そんな話が、昔から里に伝わっていた。


コメント