🕯️『GodValley戦記 ― 闘病編:明日への咆哮』第2話:静寂の報せ

GodValley戦記

近所に耳鼻科は少ない。
金閣寺のあたりに一軒、歩きながら目に留めたことがある。
そこに行くことにした。

場所は、つい最近までテナント募集の貼り紙があった場所。
つまり、新しい病院だ。

受付を済ませ、問診票に記入する。
予約制のせいか、待合には数人しかいない。
静かだった。

順番が来た。
医師は若く、丁寧そうだった。

まずは口腔の診察。
扁桃腺のあたりに腫瘍のような膨らみがあり、
触れると血が滲むという。

血が滲む?
痛みもないのに。
静かに、何かが進行している。
焦燥というより、違和の始まりだった。

続いて、鼻からファイバースコープが挿入された。
喉の奥に冷たい異物感。
医師の手元が長く止まり、撮影の音が何度も響く。
写真が多い。
何かを確かめるような視線だった。

検査が終わると、医師はゆっくりと椅子を回した。
「扁桃腺から咽頭の下、食道のあたりに腫瘍があります。」
声はかすかに震えていた。

——腫瘍。
言葉の響きが、空気を冷やす。
だが、彼の表情には迷いがあった。
咽頭、食道、腫瘍——答えは一つしかない。

面倒なので、私から先に言った。
「癌なんでしょ?」

その声に怯えはなかった。
次の戦略を立てるため、
頭を冷静に回転させようとした者の声だった。

医師は小さく頷いた。
開業して間もないのだろう。
癌の告知にまだ慣れていないようだった。

紹介状を書くという。
「京都府立医大での精密検査を…」
そう言われたが、私は首を振った。
「京大病院にしてください。」

京大病院には通い慣れていた。
何度か命を救われた病院だ。
京都で一番の病院。
そこなら大丈夫だと思っていた。

——その日、私の中で静かで長い戦いが始まった。

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🕯️ 第3話
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